コロナ感染症対策が緩和された4月のはじめ、早速、「食後のレクレーションで、歌や楽器の演奏をしてくれる人をさがしていただけませんか。」と、片瀬 愛の家グループホームの施設長、角田さんがJJBCの窓口に来訪。愛の家グループホームは、認知症対応型共同生活をサポートする介護事業所です。
「利用者さんは、認知症が進んでいます。歌も長い時間は聴いていられない。途中で寝てしまったり、反応も感じられない人もいます。けれど、かんたんな歌などをくり返し歌っていただけると楽しめるのです。」というリクエストを受け、早速、地域で幅広い世代に音楽指導をされている細木佳子先生(JJBCにボランティア登録していただいています)に依頼。快く引き受けていただきました。
当日、グループホームの介助員さんたちの、一人ひとりの利用者に合わせた声がけや、ていねいなサポートを受け、利用者18名全員がホールに集合。約30分間のミニコンサートが始まりました。伴奏はボランティア初参加という細木先生のお嬢さん。当日は「とても楽しかった」とのこと。
細木先生の、ゆっくりとした優しい声がけとともにプログラムが進行しました。
『ふるさと』『こいのぼり』『四季の歌』など、歌が進むとともに利用者の方々の背中が伸びてきたり、歌詞カードを目で追いはじめたり、ほんの少しではあるけれど、その場の空気が動きはじめた気がしました。
プログラムの終盤、『エーデルワイス』を歌い終えた細木先生が語りかけます。
「外国の花よりも、やっぱり日本の花がいいわよねー。」すると、「そうよねー。」
と元気な返事が。そして、『さくらさくら』を歌い終えると、「よかったわよー。」のかけ声も。
終了後に思いもかけず、利用者のお一人から歌のプレゼント。ひらひらと、両手を揺らしながら、美しい澄んだ声で、子守歌『やさしいお母さま』を歌ってくれたのです。まるで、お母さんの腕の中で安らぐ幼子のように。
「寝ているように見えても、無反応なようでも、ちょっと前のことを忘れてしまっても、『楽しかった。』という意識は心の奥に刻まれているのです。」と目を細める施設長の角田さん。
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愛の家グループホームでは、5月にはNONNAオカリナサークルの5名がオカリナの演奏を。優しく心癒される音色の中で、子どものころ、若いころの歌を思い出したのか、大きな声で歌いだす方もいらしたとか。
6月は隈倉孝雄さんが指笛の演奏を。隈倉さんが最初の曲を吹きはじめると、その音量のすごさに皆がびっくり。それぞれの曲にちなんだ話と力強い音色に合わせ、一人、二人と歌いだす方が増えていきました。
今後も月に一度、ボランティアさんの出演が予定されています。ボランティアさんの歌声や演奏は、聴く方たちに「心のときめき」や「なつかしい思い出」を奏でてくれるはず。そして、こうしたひと時を繋ぐ役割ができているとしたら、私たちコーディネーターにとって、何よりの喜びです。
みなさんもぜひ、特技をご披露ください。
*お問い合わせは片瀬地区人材・情報バンクセンター(JJBC)まで
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