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国立研究開発法人 防災科学技術研究所(防災科研)の「自然災害情報の利活用に基づく災害対策に関する研究プロジェクト」が主体となって作成している「地域防災Web」のページです。

【防災教育チャレンジプラン2019年度優秀賞】岡崎市立常磐東小学校:ワンチーム常磐東!~地域・学校・関係諸機関が連携した防災活動~

概要

ID 手法・事例00143004
タイトル 【防災教育チャレンジプラン2019年度優秀賞】岡崎市立常磐東小学校:ワンチーム常磐東!~地域・学校・関係諸機関が連携した防災活動~
防災対策テーマ
  • 学校等での防災教育の実施
対策の種別
目的・背景(なぜ行ったのか)

・常磐東小学校は約120年の伝統校である。過疎化が進み高齢者中心の学区である。
・児童数も減少し続けて46人である。県より「土砂災害特別警戒区域」に117か所指定されており、台風や大雨、地震等の際、大きな石が崩落してくることも度々ある。
・最近、異常気象で災害が多数発生しており、本学区も危険度が高くなっている。しかし、地域の防災意識は低く、小学校が核となり防災活動をするよう総代会や社教から要望があった。
・児童の様子は、他人との関わりが少なく、意欲的に周囲の人に話しかけるのが苦手である。また、級友は6年間一緒で、積極性はみられない傾向にある。産業もなく高校を卒業後は、地域から離れて転居する若者が多い。
・そこで、地域の要望と児童の成長を願って、次のような目的で、防災学習を始めた。

 

〇子供自身で、身の安全を確保できるようにする。
〇地域の方々と協力し、防災アンケート、防災マップや看板を作成して、地域の防災意識の高揚を図る。
〇保護者・地域・大学・NPO法人・行政と連携して児童が多くの人との関りを体験する。
〇地域の人と一緒に地域のための防災活動を推進することを通して子供自身が地域の一員としての自覚を育てる。
〇子供の思考力・判断力・表現力を培い、活動の達成感を体得し、自尊感情や自己存在感を育む。

活動の概要

①命を守る「避難」と「救助」
・年3回、全校児童・教職員を対象とした避難訓練を実施し、AED・消化器の使い方を学んだ。

 

②ぼくらは、危険か所調査隊!
・愛知工業大学、岐阜大学、NPOドゥチュウブ協力の下、土砂崩れなどの危険がある場所の「まちあるき」を実施し、その際撮影した写真などを防災マップに反映した。

 

③次世代型TV防災交流授業
・岡崎市と長野市富士通の協力の下、以前から交流していた信里小学校と「Zoom」を使った防災交流授業を行い、本講からは「土砂災害マイタイムライン」データを、信里小学校からは台風15号・19号の被災情報の交換を行った。

 

④まいどあり!どこより安い「非常食」!
・地区の住民アンケートで非常食の備蓄率低下を知り、社会福祉協議会の協力の下、非常食を安く仕入れてくれる業者と交渉して、一括購入して地区住民に配布した。

 

⑤日本で初の「土砂災害マイタイムライン」で出前発表
・「土砂災害」に遭遇した時に、「だれが」「いつ」「何をするのか」などを作成し、それを大柳町公民館、新居町公民館、小丸町公民館の3カ所で6年生が出前実施・発表した。

 

⑥もし、「大災害」にあったらあなたはどうしますか?
・教師・地域・大学・NPO法人・保護者等からなるメンバー15名前後からなる防災会議で「避難」をテーマとした住民向けアンケートを作成・調査し、その結果を全校児童及び地区に向けて発表した。

詳細

目次
  1. 内容
  2. 達成目標
  3. 達成度
  4. 必要条件
  5. 関連情報
  6. メッセージ
  7. 手法・事例の属性
内容
内容・方法

①命を守る「避難」と「救助」
・避難訓練:年3回(約60分間)全校児童・教職員対象
・第1次避難行動訓練:対地震避難行動、防災倉庫見学、救助袋を用いた降下訓練を1学期に実施した。
・第2次避難行動訓練:対火災避難行動、避難経路の柔軟な変更やAED、消化器の使い方訓練を2学期に実施した。
・3学期は予告なしの地震放送に対して自分の判断で適切な行動ができるよう訓練を実施。
・6月には高学年生、保護者、教職員を対象にAEDの使用訓練を実施した。
 

        

 

②ぼくらは、危険か所調査隊!
・2学期に愛知工業大学、岐阜大学、NPOドゥチュウブ協力の下、大柳町・新居町・安戸町の通学路を中心に土砂崩れなどの危険がある場所の「まちあるき」を6年生児童と教師で実施した。

 

 

・「まちあるき」で撮影した写真とその説明をNPOドゥチュウブの指導の下、大柳町、安戸町、新居町の3グループに分かれてパソコンで防災マップ上に入力した。

 

 

③次世代型TV防災交流授業
・岡崎市ICT担当IZA OKと長野市富士通担当富士通FIPの協力を得て、かねてより交流継続の依頼を受けていた信里小学校との間で「Zoom」を使ったTV会議を各校の6年生が参加して実施した。
・本校からは「土砂災害マイタイムライン」データを送り、信里小学校からは台風19号の被災状況や千曲川氾濫の調査について報告を受けた。
 

        

 

 

④まいどあり!どこより安い「非常食」!
・地区住民へのアンケート調査で非常食の準備率が46%と6年前の調査時より下がっていると同時に、「期限切れになっているので同じものを販売して欲しい」との声があることがわかり、児童から「安く販売して地域に役立てたい」との声が上がった。
・学区の社会福祉協議会の協力でSSフード社を見つけ出し、教育活動の一環として安く仕入れさせてもらうこととなった。
・児童がチラシを作成して配布し町内会で紹介した。受け付けた注文は学校へ報告してもらうこととした。
 

        

 

 

⑤日本で初の「土砂災害マイタイムライン」で出前発表
・「土砂災害」に遭遇した時に、「だれが」「いつ」「何をするのか」などを児童に考えさせるため、体育館で、本校在学の28世帯の親子が「土砂災害マイタイムライン」を実施した。
・続いて安戸町の集会に校長と生徒が参加して「土砂災害マイタイムライン」を実施し、その経験から6年生が自分たちでも「マイタイムライン」の出前発表ができそうだと感じる。
・台風15号、19号を経験した後、6年児童が日曜日に日曜日に出前防災授業を企画し、大柳町公民館、新居町公民館、小丸町公民館の3カ所で各回30人程度の参加者に対して「土砂災害マイタイムライン」を実施した。

 

        

 

 

⑥もし、「大災害」にあったらあなたはどうしますか?
・教師・地域・大学・NPO法人・保護者等からなるメンバー15名前後からなる防災会議で、テーマを「避難」とし「土砂災害」に遭遇した時に、具体的にどのような行動をとるのか調査する防災アンケートを作成・実施することを決定。
・作成したアンケートは地域の総代さんを中心に全戸に配付・回収し、愛知工業大学で集計した後、児童にわかりやすいようグラフ化。
・学校が地域に結果を配信すると同時に、児童に結果をわかりやすいよう校内防災研究発表会で全校児童に発表した。

 

 

課題・苦労・工夫

・活動の課題作りに苦労したが、アンケートの意見や結果児童の意見、防災会議の支援で非常食の販売ができた。

・4回の出前発表を通して児童が次第に自分の言葉で地域の人に語り、表現力・判断力・思考力が向上できた。

得られた成果

・降下訓練では、低学年は怖がり時間もかかる。危険なので1から3年生までの児童は降下訓練を見学した。しかし見学だけでも訓練内容を理解することができた。
・救助訓練では、今回の講習で小学生の自分たちでも大切な家族や友達あるいは周りの人の命を守ることができるという自覚が生まれた。
・「まちあるき」では、最近の大雨で土砂崩れの場所を見たりして、身近に危険な場所あることを知った。学校の他の児童や地域の人に伝えることの大切さを感じた。
・「まちあるき」で得た情報を、パソコンに張り付けたり説明を打ち込んだりして、多くの人に見ていただくことで、地域や後輩のために役立っているなど、達成感をもつことができた。
・信里小学校とのTV交流授業では、「土砂災害マイタイムライン」を事前に送り、信里小の児童に実践してもらうことで、調査のさらに工夫をすることや改善することなどを考えることができた。
・非常食の仕入れ・販売では、児童がアンケートの結果や地域の声を聞いて実施していることを知り、多くの人が賛同してくださり大反響となった。6名の児童が訴えていたことに、地域の方々が応えていただき、達成感が培われ、「やればできるんだ」という気持ちも育った。
・「土砂災害マイタイムライン」を本年度本校が独自に作成したものであり、土砂災害を対象としたのは全国初であると、愛知工業大学の小池則満教授は述べられた。
・「土砂災害マイタイムライン」の出前発表を通じて、地域の人々と直接かかわり感謝されることで、児童は「自分は地域の人々のために役立っている」という自尊感情が達成感となり、さらに学ぶことへの楽しさや意欲につながった。

実践者
種別 氏名 連絡先 グループ名 地域防災Web 連絡
学校防災担当 校長 近藤嗣郎 岡崎市立常磐東小学校 防災対策情報推奨用(試験ページ)
学校防災担当 担任教諭 伊藤聡子 岡崎市立常磐東小学校 
関係者
種別 氏名 連絡先 グループ名 地域防災Web 連絡
専門機関 田村 登 愛知県赤十字災害救護奉仕団
事業者 小穴久仁 特定非営利活動法人ドウチュウブ(DoChubu)
事業者 なし IZA OK イザ オッケー
事業者 なし SSフード株式会社
なし なし 愛知工業大学&地域防災研究センタ
関係者説明

岡崎市立常磐東小学校
常磐東小学校は約120年の伝統ある山間部の学校である。この20年間で人口減少が進み、児童数は46人。人やものと、関わる機会があまりなく、表現力が乏しく、素直であるが積極的な活動が苦手な児童がこれまで多かった。

 

愛知県赤十字災害救護奉仕団 田村 登
心肺蘇生法の練習の人形やAEDを持参して講師をしていただいた

 

特定非営利活動法人ドウチュウブ(DoChubu) 小穴久仁 落合鋭充
愛知工業大学地域防災研究センター内にあって大学と連携している

 

岡崎市のICT関連担当業者(IZA OK イザ オッケー)
ICT関係に関するソフト開発・トラブル対応・接続・質問など様々な内容で、岡崎市が契約しているICT専門業者

 

SSフード株式会社
非常食などの食品を販売する会社

 

愛知工業大学&地域防災研究センター
7年前から本校のためにいろいろとアドバイスをいただいている

実践人数
30
実践開始日時 2019年04月11日
実践終了日時 2020年02月28日
実践地域
愛知県
岡崎市
実践場所
岡崎市立常磐東小学校、同小学校からの通学路、長野県長野市立信里小学校、米河内町・大柳町・新居町・小丸町の公民館
参加対象
参加人数
160
報告資料・成果物

報告書全体(一括閲覧)常磐東小学校(全体).pdf
実践団体情報(概要)常磐東小学校0.pdf
プラン1常磐東小学校1.pdf
プラン2常磐東小学校2.pdf
プラン3常磐東小学校3.pdf
プラン4常磐東小学校4.pdf
プラン5常磐東小学校5.pdf
プラン6常磐東小学校6.pdf

使用経費

10,000円~30,000円

補助金情報 なし
達成目標
知能・技能を身に着ける 大いに
思考力・判断力・表現力を身に着ける 大いに
学びに向かう力・人間性を身に着ける かなり
施設・設備を整備する なし
達成度
知能・技能を身に着ける 大いに
思考力・判断力・表現力を身に着ける 大いに
学びに向かう力・人間性を身に着ける かなり
施設・設備を整備する なし
必要条件
導入予算
なし
継続予算
なし
準備の所要時間
60 日
実践の所要時間
3 時間
必要な場所
必要な能力、人材、機材、ツール、知識等

心肺蘇生法訓練の講師、地元の危険箇所に詳しい人(各町の総代)、パソコンの電子マップ更新作業に詳しい能力、TV情報交換ソフトZoomの操作に堪能な人

導入手順・工程表

実践活動の記録表 常磐東年間活動記録_1.pdf

関連情報 なし
メッセージ
メッセージ
伝えたい相手 メッセージ
常磐東小学校の全児童・常磐東小学区の地域の皆さん

事前に家庭で避難する場所、タイミング、経路等を決めておくことが絶対に大切です。
昔は「災害は忘れた頃にやってくる」と言われていますが、今では「災害は予想以上の大きな被害をもたらし常にやってくる。」ので、早め早めの準備や対応があなたの命を救います。
防災会議の皆さん
大学・地域・NPO法人・保護者・行政・学区防災指導員等の皆さんが、子供や地域のために、真剣に協議してくださり、それぞれの立場での素晴らしいアイディアや学校だけではどうにもならないアンケートの配付や回収等感謝します。
おかげで子供たちもアンケート結果から次の課題(非常食・避難するときの準備・「土砂災害マイタイムライン」の必要性)を見付けることができました。

実践事例の属性
対象ハザード
対象リスク
なし
固有災害名称
なし
入力者グループ
名前など 地域防災Web
三浦伸也
入力者 運営事務局
メモ
なし