「エンディングノート」
病気になって いちばん変わったこと。
ムダな時間やモノが
だんだんと減ってきました。
それは「ムダに感じること」が減ってきた、とも言えるのかも知れません。
時間の使い方や、環境がシンプルになると、考え方までシンプルになってきました。「今」だけが、とてもいとおしい。
もしも私に
人生の卒業の日が来ても、できるだけ後悔は少なく、自分らしくいきたいと思いました。
だから、
今日からエンディングノートを書こうと思います。
子どもに、伝えておきたいことがあります。
たくさん、お礼を伝えたい人がいます。
人はいつか、必ず旅立ちます。
とても信じられないけれど、あたりまえのように過ごしてきたこの人生に誰にでも、いつか訪れます。
だから「今」を見つめて、もし「そのとき」が来たら
延命措置をするのか
緩和処置やその後の事も併せて
私らしい逝き方を、記します。
誰にだって「自分らしい」 幕引きがあるはずです。
「ほんとうに自由な人間はね、いつでも旅立てる準備ができているものなんだよ」と、中学生の時にある小説で読んだセリフを思い出しました。
早いか遅いかじゃない。
幸不幸でもない。
どう生きたか、それだけです。
でもきっと、
私が「そのとき」を迎えたら、
もう子どもの柔らかい頬を二度と触れないのは寂しいなって、泣くのだろうと思います。
そしてただ、
「ありがとう」を繰り返すのだろうと思います。
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挿絵協力 : 亜梨沙 |