CSW in 湘南大庭

コミュニティソーシャルワーカー(CSW)は、地域に出向き、地域の皆さんの様々な困りごとに対して、関係機関・団体や行政と連携して総合的な支援を行います。

こ こ ろ

相談者 HIKARIさん ②

ある日、私は入院しました。

 

子どもが私に抱きついて、不安そうに尋ねました。 

「ママはいつ家に帰れるの?」

  

いつ帰れるかなんて、わからない。この先、もう回復することは無いのかも知れない。元気に過ごしていた頃に戻りたい。同じ言葉が繰返し、グルグルと頭の中を回っていました。 

 

私は「きっと、1週間くらいで帰れるよ。お医者さんに治してもらって、またいっぱい遊ぼうね」と、思わず言ってしまいました。

 

病状が悪化していた私は、気を失うように眠ってしまって、ふと気づいたときには、もう家族は病院を帰ったあとでした。

 

 

静かな病室で点滴に繋がれて、ひとりで落胆していると、枕の下に白い封筒を見つけました。 

 

封筒の表には≪1日1枚だけ読むこと≫と幼い字で記してありました。封を開けると、とても小さく折り畳まれたレシートのようなものがたくさん出てきました。

 

全部で12枚。 

 

几帳面に畳まれた1枚を広げると、それには子どもからのメッセージが。

  

「注射痛いよね。ママ頑張れ」

  

2枚目には、

「ちゃんと食べて、いっぱい寝ると、すぐにお家に帰れるんだよ」 

 

3枚目には、

「治ると信じると、はやく治るんだよ」と。 

 

≪1日1枚だけ≫の約束を我慢できなかった私は、12枚を1日で読んでしまいました。「1週間で帰れるよ」と、苦し紛れに言ったことを、子どもは感じ取っていたそうです。 

 

面会時間のギリギリまで、書いてくれた小さな手紙が、全部で12枚。私はその手紙を、お守りのように握りしめ、身体の苦痛に耐え続けました。 

 

そして入院からひと月が過ぎようとした頃、医師から「このまま入院を続けても、改善は見込めないでしょう。もう退院していただくしか」と。 

 

私は心から嬉しく思いました。

 

子どものそばに居られるなら

もう、何でもいい。

 

挿絵協力:亜梨沙

 

CSW in 湘南大庭 QRコード

このページは、スマホ、タブレットでも閲覧できます。

 

旧サイトアクセス数

 ( 約 46,500回 )

『こころ』ページの要旨

 

CSW 樋口

 

 

 私は平成28年4月からCSW(コミュニティソーシャルワーカー)として、主に地域の行き場のない困りごとをお受けしています。ご相談してくださるお一人お一人にそれぞれの事情があって、どうにもならないことを抱え、自分は生きていていいのかと自問自答を繰り返している状況が多くあります。

 

 今後このサイトのこの一コマを、ご相談者が自分自身のこころの声を言葉にして届ける場にしていこうと思います。ご本人がこの場で自分の言葉で自分自身のことを振り返り、自分の役割を改めて一緒に考えます。そして、地域では本当に何が必要なのかを改めて考えていければと思っています。

 

 「こころ」というフレームネームにしました。

 

 「こころ」初発信してくださる方は、難病を抱え子育てをしながら生活している40代女性です。私はこの方とお会いするといつも“可能性の光”を感じていることから、仮ネームは『HIKARI』とさせていただきました。ご本人のメッセージ「こころ」は2週間に1回のペースで更新していきます。

 

アクセスカウンター

合計:235561
今日:117
今週:117
今月:2459

『こ こ ろ』アーカイブ

ブログアーカイブ

簡易検索

検索
オプションを表示»
検索対象ページ 
 
 
検索対象
 
 
 
 
検索