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国立研究開発法人 防災科学技術研究所(防災科研)の「自然災害情報の利活用に基づく災害対策に関する研究プロジェクト」が主体となって作成している「地域防災Web」のページです。

【防災教育チャレンジプラン2019年度大賞】目黒星美学園中学高等学校「わくわく防災減災―毎日,学校で防災について考えてみた。1からから分かる!学校の日常に防災教育を入れるコツと,生徒が活躍できる地域連携のススメ」

概要

ID 手法・事例00143312
タイトル 【防災教育チャレンジプラン2019年度大賞】目黒星美学園中学高等学校「わくわく防災減災―毎日,学校で防災について考えてみた。1からから分かる!学校の日常に防災教育を入れるコツと,生徒が活躍できる地域連携のススメ」
防災対策テーマ
  • 学校等での防災教育の実施
  • 防災リーダー育成
対策の種別
目的・背景(なぜ行ったのか)

・生徒がやる気を出す仕掛けや,教員がやる気を維持する工夫が必要となる。生徒が防災の主役になる実践を通じて,防災教育の魅力を高めたい。

・本校の生徒の意識や行動を変えたのは「ちょっとした工夫」や「日常の小さな声がけ」の積み重ねも大きい。試行錯誤や小さな工夫も,報告・共有していきたい。

・教えるから「引き出す」防災教育へ転換を図ったところ,より効果的に主体的に行動する態度が育つようになった。

・水害に重点を置いたプランを展開していたところ,台風19号に直面した。

活動の概要

※本件では、以下の10のテーマ合計で計44件の個別プラン(取り組み)が含まれる。
(1)情報整理術              1件
(2)授業実践(教科単独/教科横断)  16件
(3)他校との連携             4件
(4)地域との連携           5件
(5)校外・被災地での防災学習     4件
(6)防災講演会            4件
(7)災害時のトイレ問題        2件
(8)訓練               2件
(9)教職員研修            1件
(10)日常の工夫            5件

詳細

目次
  1. 内容
  2. 達成目標
  3. 達成度
  4. 必要条件
  5. 関連情報
  6. メッセージ
  7. 手法・事例の属性
内容
内容・方法

※本件では、計44件の個別プランの概要は紹介しきれないので、一部をサンプルとして紹介する。

(1)情報整理術
・日々の防災教育の取り組みで直面した疑問・課題について、「課題」=実践の中で生じた課題等を挙げる、「追求」=課題解決に向けた工夫や課題を追究した結果,見えてきたことをまとめる、「解決」=どのように課題解決を図ったか、特に今年度の取り組みや工夫を報告するの3段階で整理し、他校でも共有できる事例にとりまとめた。

 

(2)授業実践④:逆転の発想!!生徒「が」防災を教える防災教育
・下図の考え方の下、初めて防災の授業を受ける中1が,防災に関するアイディア・提案を自ら考え,社会科見学で専門家の前で発表させた。

 


・具体的には、ミッションA、Bに分かれて3-4名のチームでワークショップを行い、3分間のプレゼンテーションを行った。

 

        

 

代表チームのテーマ:
▼おもてなしプロジェクト 
A-1「不安から安心へ」 B-3「つながる変える防災」 
C-5「『避難所に頼らないマーク』の提案」
▼イメージアップ大作戦 
A-3「女子中学生が考える防災の世界」
B-1「世界へのOMO TENASHI」 C-2「備えれば“得”しかない!」

 

(3)他校との連携:生徒の活躍の場が広がる!ツールとしての「魔法の携帯トイレ」活用法
・都内の青少年赤十字(JRC)加盟校の生徒が集まり,携帯トイレを校内や地域で普及するために作り方をマスターする。災害時のトイレ問題の重要性を知り,中高生視点でどのように地域に普及するか,アイディアを出しあった。
・6人の生徒が人1チームに分かれ,3つのテーマをそれぞれ分担した。
【プレゼンテーションテーマ】
〇「災害時のトイレ問題とは?」
〇「エコノミークラス症候群って何?」
〇「本校の被災地ボランティア研修と防災活動」

 

 

(4)地域との連携:「どうせ助からない」を減らすために
・災害に対して「諦めの意識」を持つ住民に対して生徒が明るく防災について呼びかけ、少しでも前向きに防災に取り組んでもらえることを目指した。
・定期的に本校の生徒が参加している地域住民との交流会での生徒による「ミニ防災講座」の時間で、生徒がエコノミークラス症候群や備えることの大切さについて説明してからエコノミークラス症候群を予防する「さんあい体操」を実践した。

 

        

 

(5)校外・被災地での防災学習:わくわくしながら,防災研究の最先端に触れよう!
・入学後初めて防災の授業を受ける中1が防災に関するアイディア・提案を自ら考え、社会科見学で専門家の前で発表した。
・防災科学技術研究所見学当日の午前中は施設減額を行い、午後は生徒によるプレゼンテーション及び防災科学技術研究所の方に参加していただき

 

        

 

以下のテーマについてワークショップを行った。
①「まさ家!族」を動かそう
②未来の防災を考えよう「当然,全員安全確保!」

 

        

 

(6)防災講演会:新聞記者と考える「私が伝える意味」(第16回被災地ボランティア研修)
・震災後から石巻市に取材に入り宮城の若者やご遺族を丁寧に取材して記事を書き続けている新聞記者の方をお招きしお話を伺った。
・研修内容については,事前にメールや直接の打ち合わせを通じて,相談した。
①事前研修
お話を聴く記者の方が出演している動画を視聴する。
→あらかじめ「質問」を考える。
まいもく(72)「東日本大震災8年 語り部の思い」
https://video.mainichi.jp/detail/video/6013829379001
②研修当日
「悲しみを伝える意味」と「『私』が伝える意味」の2つのテーマで生徒と対話しながら話していただいた。

 

 

(7)災害時のトイレ問題:子どもたちをあっという間に主役にするツールとしての「魔法の携帯トイレ」活用術(中1の学年活動における「携帯トイレ」作成事例)
・前日に,クラス委員を集めて,作成方法を説明した。
・当日は、教員から作成方法の説明・材料の配布し、グループで助け合いながら作成した。
・教員とクラス委員は,適宜,指導やサポートに回った。

 

 

(8)訓練:リニューアル防災訓練!vol.2パターン分けでマンネリ化を打破&生徒を真面目に参加させるコツ(全校防災・避難訓練における工夫)
・従来の「合図があったら机の下にもぐってから避難」のパターン通り動くだけの訓練からどう行動すべきか、なぜ避難するのかを生徒も教職員も「考える訓練」にすることが目標。
・パターン1:軽度な地震が発生、パターン2:強い揺れが発生、パターン3:火災が発生とし、教室で「けが人」「病人」などが発生させて生徒に報告させたり、落下物に見立てた段ボールを設置した体育館に生徒はあくまでも避難することに専念し、訓練後にアンケートでチェックした。
 

(9)教職員研修:教員の防災防犯1日研修
・防災と防犯の両面から取り組みを強化することで職員の意識向上を目指した研修を実施。
・地震発生時の初動訓練、防犯研修、炊き出し訓練、ヒヤリハットマップ作り(ワークショップ)、救命講習(90分コース)、火災報知器・防火扉訓練を一日で行った。

 

        

 

(10)日常の工夫:はにわ DE LED
・小学生を対象とした本校の「体験授業・社会科」の一環で、粘土で埴輪を作ることを通じて歴史に親しむと同時にLEDを埋め込むことまで震災時などにも卓上LEDとして利用できるものを作成し、防災意識の向上を図った。
・オーブン粘土で作成、ベースが出来たら思い思いの装飾を施しLEDの光が洩れる穴を開けるなどの作業を実施。2週間程度乾燥させてオーブンで焼いた後、クッション材を入れて発送。
 

    

 

 

課題・苦労・工夫

生徒が成長する防災教育の魅力にワクワクしながら,さらに実践を重ね,校内外での取り組みや連携が広がった。

一方で新しい取り組みの準備に時間がかかり,プラン実施に追われていたので,計画性・効率性も意識していきたい。

得られた成果

(2)授業実践:中1防災社会科見学 生徒によるプレゼンテーション
・防災に対する生徒のイメージをネガティブからポジティブへ,態度を受け身から主体的なものに転換を図ることができた。

 

(3)他校との連携:生徒の活躍の場が広がる!ツールとしての「魔法の携帯トイレ」活用法
・同世代の他校の生徒との出会いを通じて,大いに刺激を受けた。

 

(4)地域との連携:「どうせ助からない」を減らすために
・初めて体験する生徒も多いが,「一緒に体験する」「自分たちが教える側になる」という経験を通じて,しっかりと身体を動かす様子が見られた。実践しながら,身につけることができた。
 

(5)校外・被災地での防災学習:わくわくしながら,防災研究の最先端に触れよう!
・昨年度、防災社会科見学を経験した生徒から台風19号の後に「防災の活動に取り組みたい」と申し出があった。時間が経ってから経験や学びが活きてくることがあると改めて分かった。

 

(6)防災講演会:新聞記者と考える「私が伝える意味」
・研修1日目の夜に本研修を実施したことで,その後のプログラムにおいて,生徒たちに積極的に相手の話に耳を傾けて,質問しようとする姿勢が見られた。

 

(7)災害時のトイレ問題:子どもたちをあっという間に主役にするツールとしての「魔法の携帯トイレ」活用術(中1の学年活動における「携帯トイレ」作成事例)
・「携帯トイレ」というツールがあることで,中高生が教えたり,発表したりするチャンスを得ることができる。

 

(8)訓練:リニューアル防災訓練!
・防災科学技術研究所の「防災意識尺度」と訓練に関するアンケートを実施。生徒から厳しい意見や真面目に取り組めなかった反省等が見られたが、それもまた生徒が主体性を持って参加している結果だと捉えている。

実践者
種別 氏名 連絡先 グループ名 地域防災Web 連絡
学校防災担当 校長 若松 悠紀子 目黒星美学園中学高等学校 防災対策情報推奨用(試験ページ)
関係者 なし
関係者説明

目黒星美学園中学高等学校
中高一貫の私立女子校で所在地は世田谷区(併設小学校は目黒区)。「被災地ボランティア研修」(2012年~@宮城)での学びがきっかけとなり,2015年から学校内及び地域での防災教育・防災活動に取り組み始めた。防災教育を学校の特色の一つと位置づけ,様々な活動を展開している。特に「東京の私立女子校」という特性を活かした実践と災害時のトイレ問題の取り組みが特徴的である。防災を軸とした地域との連携も広げており,区と乳幼児と妊産婦を受け入れる「福祉避難所(母子)」の協定を結んでいる。 

 

※個々の取り組みについては「詳細/1.内容/(14)報告資料・成果物」から報告書原本を参照してください。

実践人数
7
実践開始日時 2019年04月20日
実践終了日時 2020年02月17日
実践地域
宮城県
東京都
世田谷区
熊本県
実践場所
東京都内(世田谷区を中心とした都内各地)、宮城県(石巻市・塩釜市・仙台市・東松島市・山元町・亘理町)、熊本県(熊本市)
参加対象
参加人数
100
報告資料・成果物

報告書全体(一括閲覧)      目黒星美学園中学高等学校(全体).pdf
実践団体情報(概要)       目黒星美学園中学高等学校0.pdf
 

以下、テーマ別の取り組み
(1)情報整理術           目黒星美学園中学高等学校1.pdf
(2)授業実践(教科単独/教科横断) 目黒星美学園中学高等学校2.pdf
(3)他校との連携          目黒星美学園中学高等学校3.pdf
(4)地域との連携          目黒星美学園中学高等学校4.pdf
(5)校外・被災地での防災学習    目黒星美学園中学高等学校5.pdf
(6)防災講演会           目黒星美学園中学高等学校6.pdf
(7)災害時のトイレ問題       目黒星美学園中学高等学校7.pdf
(8)訓練              目黒星美学園中学高等学校8.pdf
(9)教職員研修           目黒星美学園中学高等学校9.pdf
(10)日常の工夫           目黒星美学園中学高等学校10.pdf

使用経費

0円~最大1,500,00円(1,000円~3,000円程度の費用の場合が多い)

補助金情報 なし
達成目標
知能・技能を身に着ける かなり
思考力・判断力・表現力を身に着ける かなり
学びに向かう力・人間性を身に着ける かなり
施設・設備を整備する なし
達成度
知能・技能を身に着ける かなり
思考力・判断力・表現力を身に着ける かなり
学びに向かう力・人間性を身に着ける かなり
施設・設備を整備する なし
必要条件
導入予算
なし
継続予算
なし
準備の所要時間
9 時間
実践の所要時間
3 時間
必要な場所
必要な能力、人材、機材、ツール、知識等

個々の取り組みについては「詳細/1.内容/(14)報告資料・成果物」から報告書原本を参照してください。

導入手順・工程表

実践活動の記録表 目黒星美学園年間活動記録.pdf

関連情報 なし
メッセージ
メッセージ
伝えたい相手 メッセージ
防災教育に取り組みたいと思っている先生方

(授業実践⑨)より
防災教育を始めると,思っていなかった課題が発生することはよくあります。そこで諦めずに,課題解決を目指すと,より良い取り組みが見えてきます。何よりも生徒が成長します。学校現場にどうやって防災を入れ込むか(時間を確保するか),は課題の1つですが,「防災を教える」の視点だけではなく,「防災『で』教える」の視点で日常を見直すとチャンスがたくさん見つかります。

実践事例の属性
対象ハザード
対象リスク
なし
固有災害名称
なし
入力者グループ
名前など 地域防災Web
三浦伸也
入力者 運営事務局
メモ
なし